医療事故調査制度の概要

➋医療事故判断

Last Update:2022年2月18日

「医療事故」の定義

医療法上、本制度の対象となる医療事故は、「医療事故(当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であつて、当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかつたものとして厚生労働省令で定めるもの)」とされており、以下に示すように、この2つの状況を満たす死亡又は死産が届出対象に該当します。

  医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産 左記に該当しない死亡又は死産
管理者が予期しなかったもの 制度の対象事案  
管理者が予期したもの    

※過誤の有無は問わない

なお、医療法では、「医療事故第1条の10の2」に該当するかどうかの判断と最初の報告は、医療機関の管理者が行うことと定められており、遺族が「医療事故」として医療事故調査・支援センターに報告する仕組みとはなっていません。

出典:厚生労働省ホームページ「医療事故調査制度に関するQ&A(9/28更新)」一部改変

 

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「医療に起因する(疑いを含む)死亡又は死産の考え方について

通知 地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律の一部の施行(医療事故調査制度)について

(平成27年5月8日医政発 0508 第1号)

医療に起因し、又は起因すると疑われるもの

  • 「医療」に含まれるものは制度の対象であり、「医療」の範囲に含まれるものとして、手術、処置、投薬及びそれに準じる医療行為(検査、医療機器の使用、医療上の管理など)が考えられる。
  • 施設管理等の「医療」に含まれない単なる管理は制度の対象とならない。

死産について

  • 死産については「医療に起因し、又は起因すると疑われる、妊娠中または分娩中の手術、処置、投薬及びそれに準じる医療行為により発生した死産であって、当該管理者が当該死産を予期しなかったもの」を管理者が判断する。
  • 人口動態統計の分類における「人工死産」は対象としない。

「医療に起因する(疑いを含む)」死亡又は死産の考え方

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「当該死亡又は死産を予期しなかったもの」の考え方について

省令医療法施行規則

第1条の10の2

法第6条の10第1項に規定する厚生労働省令で定める死亡又は死産は、次の各号のいずれにも該当しないと管理者が認めたものとする。

(1) 病院等の管理者が、当該医療が提供される前に当該医療従事者等が当該医療の提供を受ける者又はその家族に対して当該死亡又は死産が予期されることを説明していたと認めたもの
(2) 病院等の管理者が、当該医療が提供される前に当該医療従事者等が当該死亡又は死産が予期されることを当該医療の提供を受ける者に係る診療録その他の文書等に記録していたと認めたもの
(3) 病院等の管理者が、当該医療を提供した医療従事者等からの事情の聴取及び第1条の11第1項第2号の委員会からの意見の聴取(当該委員会を開催している場合に限る。)を行つた上で、当該医療が提供される前に当該医療従事者等が当該死亡又は死産を予期していたと認めたもの

上記の解釈について

通知 地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律の一部の施行(医療事故調査制度)について

(平成27年5月8日医政発 0508 第1号)

  • 省令第一号及び第二号に該当するものは、一般的な死亡の可能性についての説明や記録ではなく、当該患者個人の臨床経過等を踏まえて、当該死亡又は死産が起こりうることについての説明及び記録であることに留意すること。
  • 患者等に対し当該死亡又は死産が予期されていることを説明する際は、医療法第一条の四第二項の規定に基づき、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めること。
 

医療機関の「医療事故の判断」に対して、遺族等より異なる申出があった場合

通知 「医療法施行規則の一部を改正する省令の施行について伴う留意事項等について」

(平成28年6月24日医政総発 0624 第1号)

第三 病院等の管理者について

  1. 遺族等から法第6条の10第1項に規定される医療事故が発生したのではないかという申出があった場合であって、医療事故には該当しないと判断した場合には、遺族等に対してその理由をわかりやすく説明すること。
 

遺族等からの求めに応じた医療機関への伝達について

通知 「医療法施行規則の一部を改正する省令の施行について伴う留意事項等について」

(平成28年6月24日医政総発 0624 第1号)

第二 医療事故調査・支援センターについて

  1. 遺族等からの相談に対する対応の改善を図るため、また、当該相談は病院等が行う院内調査等への重要な資料となることから、医療事故調査・支援センターに対して遺族等から相談があった場合、法第6条の13第1項に規定する医療安全支援センターを紹介するほか、遺族等からの求めに応じて、相談の内容等を病院等の管理者に伝達すること。
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