医療関係のみなさま

1.医療事故調査制度について

Last Update:2018年8月30日

ここで用いている法律・省令・通知等について(本文では   枠内に抜粋して掲載しています)

  • 医療法(昭和23年法律第205号)
  • 医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)
  • 「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律の一部の施行(医療事故調査制度)について」(平成27年5月8日医政発0508第1号)
  • 「医療法施行規則の一部を改正する省令」(平成28年厚生労働省令第117号)
  • 「医療法施行規則の一部を改正する省令の施行について」(平成28年6月24日医政発0624第3号)
  • 「医療法施行規則の一部を改正する省令の施行について伴う留意事項等について」(平成28年6月24日医政総発 0624 第1号)

目的

医療事故調査制度は医療法の「第3章 医療の安全の確保」に位置づけられており、6条の11において「病院等の管理者は、医療事故が発生した場合には、厚生労働省令で定めるところにより、速やかにその原因を明らかにするために必要な調査(以下この章において「医療事故調査」という。)を行わなければならない。」と規定されています。本制度は、医療の安全のための再発防止を目的とし、原因を調査するために、医療機関が自主的に医療事故を調査し、再発防止に取り組むことを基本としており、責任追及を目的としたものではありません。

医療事故調査の流れ

医療事故調査の流れ

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調査の流れについて

医療機関は、医療事故が発生した場合、まずは遺族に説明を行い、医療事故調査・支援センターに報告します。その後、速やかに院内事故調査を行います。医療事故調査を行う際には、医療機関は医療事故調査等支援団体に対し、医療事故調査を行うために必要な支援を求めるものとするとされており、原則として外部の医療の専門家の支援を受けながら調査を行います。院内事故調査の終了後、調査結果を遺族に説明し、医療事故調査・支援センターに報告します。

また、医療機関が「医療事故」として医療事故調査・支援センターに報告した事案について、遺族又は医療機関が医療事故調査・支援センターに調査を依頼した時は、医療事故調査・支援センターが調査を行うことができます。調査終了後、医療事故調査・支援センターは、調査結果を医療機関と遺族に報告することになります。
           
                            厚生労働省ホームページ「医療事故調査制度に関するQ&A(9/28更新)」より

「医療事故調査の流れ」の図中にある➊~➏について

❶「医療事故」の判断・報告

この制度の対象となる「医療事故」は、「病院、診療所、助産所に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、その管理者が当該死亡又は死産を予期しなかったもの」であり、法令等に詳細に規定されています。この「医療事故」に該当するかどうかについては、医療機関の管理者が組織として判断し、該当すると判断した場合は、遺族への説明後、センターに医療事故発生の報告をします。

※医療機関の管理者はこの報告を行うことが義務付けられています。遺族が報告するしくみとはなっておりません。

❷医療機関が行う「院内調査」

医療事故が発生した場合、医療機関は速やかにその原因を明らかにするために必要な調査を行います。院内調査を行う際は、中立性、公正性を確保するため、医療事故調査等支援団体の支援を求めることとされています。

❸医療事故調査等支援団体による支援

医療事故調査等支援団体とは、医療機関が院内調査を行うにあたり、必要な支援を行う団体で、都道府県医師会、大学病院、各領域の医学会など、複数の医療関係団体で構成されています。

(支援内容)

  • 医療事故の判断に関する相談
  • 調査手法に関する相談、助言
  • 院内事故調査の進め方に関する支援
  • 解剖、死亡時画像診断に関する支援(施設・設備等の提供含む)
  • 院内調査に必要な専門家の派遣
  • 報告書作成に関する相談、助言
    (医療事故に関する情報の収集・整理、報告書の記載方法など)

❹院内調査結果の説明・報告

院内調査が終了した際は、医療機関は遺族とセンターに調査結果の説明・報告をします。

※遺族には、口頭又は書面、もしくはその双方の適切な方法により行い、遺族が希望する方法で説明するよう努めなければならないとされています。

センターへの調査結果報告の内容については、再発防止策の検討を充実させるため、必要に応じて、センターから医療機関に確認・照会等を行うことがあります。
なお、センターは、院内調査に関することについて、患者遺族に連絡することはありません。

❺センター調査

医療事故としてセンターに報告された事案について、医療機関又は遺族がセンターへの調査を依頼した場合、センターは必要な調査を行います。この調査が終了した際、センターは調査結果を医療機関と遺族に報告します。

❻再発防止に関する普及啓発

センターは、医療機関から集積した情報に基づき、個別事例ではなく全体として得られた再発防止に関する知見を情報提供します。

対象

本制度における医療事故とは、「当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であつて、当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかつたもの」と規定されています。

「医療事故」の範囲は、「医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産」(平成27年10月1日以降)であって、「当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかったもの」です。この2つを満たすもの及び満たすことを否定できないもの(「医療事故」かどうか不明なもの)が報告対象となります。

  医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産 左記に該当しない死亡又は死産
管理者が予期しなかったもの 制度の対象事案  
管理者が予期したもの    

厚生労働省ホームページ「医療事故調査制度に関するQ&A(9/28更新)」一部改変

 

「医療事故」に該当するかどうかの判断は、医療機関の管理者が行うことと定められており、遺族が「医療事故」としてセンターに報告する仕組みとはなっていません。

※当該病院等には、病院、診療所(歯科を含む。)、助産所が含まれます。
※制度の対象は、医療過誤の有無によって決定されるものではありません。

法律

医療法 第6条の10

病院、診療所又は助産所(以下この章において「病院等」という。)の管理者は、医療事故(当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であつて、当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかつたものとして厚生労働省令で定めるものをいう。以下この章において同じ。)が発生した場合には、厚生労働省令で定めるところにより、遅滞なく、当該医療事故の日時、場所及び状況その他厚生労働省令で定める事項を第6条の15第1項の医療事故調査・支援センターに報告しなければならない。

「医療に起因する(疑いを含む)」死亡又は死産の考え方について

通知

医療に起因し、又は起因すると疑われるもの

  • 「医療」に含まれるものは制度の対象であり、「医療」の範囲に含まれるものとして、手術、処置、投薬及びそれに準じる医療行為(検査、医療機器の使用、医療上の管理など)が考えられる。
  • 施設管理等の「医療」に含まれない単なる管理は制度の対象とはならない。

死産について

  • 死産については「医療に起因し、又は起因すると疑われる、妊娠中または分娩中の手術、処置、投薬及びそれに準じる医療行為により発生した死産であって、当該管理者が当該死産を予期しなかったもの」を管理者が判断する。
  • 人口動態統計の分類における「人工死産」は対象としない。

通知

「医療に起因する(疑いを含む)」死亡又は死産の考え方

「医療に起因する(疑いを含む)」死亡又は死産の考え方

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「当該死亡又は死産を予期しなかったもの」の考え方について

省令

第1条の10の2

法第6条の10第1項に規定する厚生労働省令で定める死亡又は死産は、次の各号のいずれにも該当しないと管理者が認めたものとする。

(1)病院等の管理者が、当該医療が提供される前に当該医療従事者等が当該医療の提供を受ける者又はその家族に対して当該死亡又は死産が予期されることを説明していたと認めたもの

(2)病院等の管理者が、当該医療が提供される前に当該医療従事者等が当該死亡又は死産が予期されることを当該医療の提供を受ける者に係る診療録その他の文書等に記録していたと認めたもの

(3)病院等の管理者が、当該医療を提供した医療従事者等からの事情の聴取及び第1条の11第1項第2号の委員会からの意見の聴取(当該委員会を開催している場合に限る。)を行つた上で、当該医療が提供される前に当該医療従事者等が当該死亡又は死産を予期していたと認めたもの

上記の解釈について

通知

  • 省令第1号及び第2号に該当するものは、一般的な死亡の可能性についての説明や記録ではなく、当該患者個人の臨床経過等を踏まえて、当該死亡又は死産が起こりうることについての説明及び記録であることに留意すること。
  • 患者等に対し当該死亡又は死産が予期されていることを説明する際は、医療法第1条の4第2項の規定に基づき、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めること。
Q4. 「死亡する可能性がある」ということのみ説明や記録がされていた場合は、予期したことになるのでしょうか?

A4. 医療法施行規則第1条の10の2第1項第1号の患者又はその家族への説明や同項第2号の記録については、当該患者個人の臨床経過を踏まえ、当該患者に関して死亡又は死産が予期されることを説明していただくことになります。したがって、個人の病状等を踏まえない、「高齢のため何が起こるかわかりません」、「一定の確率で死産は発生しています」といった一般的な死亡可能性についてのみの説明又は記録は該当しません。


Q5. 「合併症の可能性」についてのみ説明や記録がされていた場合は、予期していたことになるのでしょうか?

A5. 医療法施行規則第1条の10の2第1項第1号の患者又はその家族への説明や同項第2号の記録については、説明や記録の内容として「医療の提供前に医療従事者等が死亡又は死産が予期されること」を求めていますので、単に合併症の発症についての可能性のみであった場合は該当しません。


Q7. 医療法施行規則第1条の10の2第1項第3号に該当する場合(※)とは、どのような状況を想定すればよいのでしょうか?
※ 病院等の管理者が、当該医療を提供した医療従事者等からの事情の聴取及び第一条の十一第一項第二号の委員会からの意見の聴取(当該委員会を開催している場合に限る。)を行つた上で、当該医療が提供される前に当該医療従事者等が当該死亡又は死産を予期していたと認めたもの

A7.  医療法施行規則第1条の10の2第1項第3号に該当する具体的事例は、例えば以下のような場合が考えられます。
1 単身で救急搬送された症例で、緊急対応のため、記録や家族の到着を待っての説明を行う時間の猶予がなく、かつ、比較的短時間で死亡した場合
2 過去に同一の患者に対して、同じ検査や処置等を繰り返し行っていることから、当該検査・処置等を実施する前の説明や記録を省略した場合

いずれにしても、医療法では医師等の責務として、医療を提供するにあたっては、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならないとされていること等に基づき、医療行為を行う前に当該患者の死亡の可能性が予期されていたものについては、事前に説明に努めることや診療録等へ記録することが求められます。

                           厚生労働省ホームページ「医療事故調査制度に関するQ&A(9/28更新)」より

センターで行っていること(センター合議)

「医療事故」に該当するかどうかについては、医療機関の管理者が組織として判断しますが、センターでは複数の医師、看護師による合議を行い、この結果をセンターの医師より医療機関に「助言」として電話でお伝えすることができます。

医療事故調査に関するご相談はこちら▼

センターで行っていること(遺族等からの求めに応じた医療機関への伝達)

センターは、ご遺族等の依頼により、相談の内容等を医療機関の管理者に伝達いたします。

「医療法施行規則の一部を改正する省令の施行について伴う留意事項等について」

(平成28年6月24日医政総発 0624 第1号)

通知

第二 医療事故調査・支援センターについて

4 遺族等からの相談に対する対応の改善を図るため、また、当該相談は病院等が行う院内調査等への重要な資料となることから、医療事故調査・支援センターに対して遺族等から相談があった場合、法第6条の13第1項に規定する医療安全支援センターを紹介するほか、遺族等からの求めに応じて、相談の内容等を病院等の管理者に伝達すること。

医療事故調査に関するご相談はこちら▼

こんな時は?

●複数の医療機関が提供した医療を受けていた患者の死亡の場合

Q3. 複数の医療機関にまたがって医療を提供した結果の死亡であった場合、どの医療機関の管理者が報告するのでしょうか?

A3. 医療法上、本制度の対象となる医療事故は、「当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であつて、当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかつたもの」とされており、患者が死亡した場所は要件となっておりません。
複数の医療機関にまたがって医療を提供していた患者が死亡した時は、まず当該患者の死亡が発生した医療機関から、搬送元となった医療機関に対して、当該患者の死亡の事実とその状況について情報提供し、医療事故に該当するかどうかについて、両者で連携して判断していただいた上で、原則として当該死亡の要因となった医療を提供した医療機関から報告していただくことになります。

厚生労働省ホームページ「医療事故調査制度に関するQ&A(9/28更新)」より 

●医療機関が「医療事故」に該当しないと判断したが、遺族より異なる申出があった場合

医療機関が本制度の「医療事故」に該当しないと判断した際に、遺族より「医療事故」ではないかと申出があった場合、医療機関は遺族に判断の理由を丁寧に説明する必要があります。

「医療法施行規則の一部を改正する省令の施行について伴う留意事項等について」

(平成28年6月24日医政総発 0624 第1号)

通知

第三

3 遺族等から法第6条の10第1項に規定される医療事故が発生したのではないかという申出があった場合であって、医療事故には該当しないと判断した場合には、遺族等に対してその理由をわかりやすく説明すること。

 

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