医療事故調査制度とは、医療の安全を確保するために(安全、安心な医療を提供するために)、医療事故の再発防止(他の医療機関で起きるかもしれない同様の事故を防止すること)を行うことを目的としています。個人の責任追及を目的としたものではありません。
医療機関は、医療事故が発生した場合、まずは遺族に説明を行い、医療事故調査・支援センターに報告します。その後、速やかに院内事故調査を行います。医療事故調査を行う際には、医療機関は医療事故調査等支援団体に対し、医療事故調査を行うために必要な支援を求めるものとするとされており、原則として外部の医療の専門家の支援を受けながら調査を行います。院内事故調査の終了後、調査結果を遺族に説明し、医療事故調査・支援センターに報告します。
また、医療機関が「医療事故」として医療事故調査・支援センターに報告した事案について、遺族又は医療機関が医療事故調査・支援センターに調査を依頼した時は、医療事故調査・支援センターが調査を行うことができます。調査終了後、医療事故調査・支援センターは、調査結果を医療機関と遺族に報告することになります。
厚生労働省ホームページ「医療事故調査制度に関するQ&A(9/28更新)」より
医療事故調査制度の対象となる「医療事故」の範囲は、医療法で定められています。
「医療事故」の定義
患者の死亡又は死産がこの制度の対象になるかどうか(この制度の「医療事故」に該当するか)について、医療機関の管理者(院長)が組織として判断します。
つまり、制度の対象になるかどうかについては、ご遺族の方ではなく、医療機関が判断する制度となっています。
医療機関が制度の対象(「医療事故」に該当する。)と判断した場合、医療機関は、医療事故調査・支援センター(以下、「センター」といいます。)に対して、遅滞なく、医療事故について報告する義務があります。センターに報告するにあたって、医療機関は、以下の内容についてご遺族に説明を行うことになっています。
◆医療機関からのご遺族への説明内容について
ご遺族から医療機関に問い合わせる場合も考えられますので、医療機関の連絡窓口についても確認しておくとよいでしょう。
医療機関からセンターへの医療事故報告は、個別の事例により期間は異なりますが、医療事故と判断後、遅滞なくされることとなっています。
◆報告書の内容
本制度は、すべての病院、診療所、助産所を対象としていますので、小規模な医療機関であっても「医療事故」と判断した場合は院内事故調査を行うこととなっています。
院内調査は、医療事故の原因を明らかにするために行われますが、事例によっては、調査を行っても、医療事故の原因が明らかにならなかったり、再発防止策が得られないという場合もあります。
なお、医療機関が調査を行う際は、医療事故調査等支援団体の支援を求めることとしております。
医療事故調査等支援団体とは、医療機関が院内事故調査を行うにあたり、専門家の派遣など、必要な支援を行う団体です。都道府県医師会、大学病院、各領域の医学会など、多数の医療関係団体が厚生労働省告示で示されています。
院内調査が終了した後、医療機関からご遺族に対して、院内調査の結果について、説明があります。
◆説明の方法
医療機関は、院内調査結果をセンターに「医療事故報告書」として提出します。この報告書では、当該医療従事者などの関係者については匿名化することになっています。
◆報告書の内容
本制度の対象としてセンターに報告された事例は、ご遺族又は医療機関から調査依頼があった場合に、センターによる調査を行うことができます。なお、センターによる調査をお申し込みの場合は、所定の手続きが必要です。
センター調査終了後、センターはご遺族及び医療機関の双方に調査結果の報告を行います。詳細は、センター調査のページをご覧ください。
センターは、集積した医療事故の情報の整理・分析を行い、一般化、普遍化した情報を提供することで、全国の医療機関に対して同様の事故の再発を防止するための普及啓発を行っております。